量子コンピュータは、スーパーコンピュータを上回る性能を持つようになると期待されている次世代のコンピュータです。
しかし現在の量子コンピュータはまだまだ発展途上で、スパコンよりも性能が低い状況です。この現状をわかりやすく説明するイラストがtwitterにあったのでご覧ください笑↓
上のイラストにあるように、量子コンピュータはすでに簡単な計算をすることができるのですが、よく間違った答えを出してしまいます。人間で考えればよくあることですが、コンピュータの世界では、普通のコンピュータでさえ四則演算させればどんな計算でも100発100中で正解できるという信頼があると思います。正確さにおいて、到底スパコンには及ばないのが量子コンピュータの現状と言えるでしょう。
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基礎編
専門用語
大抵、技術の解説では専門用語のせいで内容がわからなくなるので、先に紹介します。
量子 | とても小さい粒のことです。 ただ、塩一粒はとても小さい粒ですが、量子とは呼べません。 量子とは、あまりにも小さすぎて、従来の物理法則が成り立たなくなってしまうほど小さい粒のことです。 例えば、ものを押し続けたら加速していく物理法則があります。サッカーボールを手で押したら絶対に加速するし、それは当たり前のことです。しかし、量子を押した時に加速するかは当たり前ではありません。 |
古典力学 | 今までの説明に出てきた「従来の物理法則」を古典力学と呼びます。 |
量子力学 | 古典力学では説明できない、量子特有の振る舞いの法則を追求する学問を量子力学と呼びます。 |
古典コンピュータ | 量子コンピュータではない、現代普通に使われているコンピュータのことと思ってください。 細かくいえば、古典力学で動くから古典コンピュータ、量子力学で動くから量子コンピュータと言います。 |
応用編
量子コンピュータの応用先は主に3つ挙げられます。
研究開発の加速
研究・開発の世界では「シミュレーション」は非常に重要です。研究者は、さまざまな実験設備を購入し、使い方をしっかりと学んで、危険にも十分注意して、実験を行うため手間・コスト・時間が多くかかります。このシミュレーションの高速化は量子コンピュータの得意分野になると期待されています。
量子コンピュータのアイデアを考えたリチャードファインマンは「自然をシミュレーションしたければ、量子力学の原理でコンピュータを作らなくてはならない」と主張しました。例えば、建物の2階から落とされたボールがどのように落下するのかを考えるときに、量子力学をわざわざ考える必要はありません。しかし、ガラス職人が目でガラスの温度を予測するように、計算でガラスの温度を算出するには実は量子力学が必要です。このように、自然を厳密に理解するために必要になる量子力学で動作する量子コンピュータは、自然を厳密にシミュレーションできるのではないか、と期待されています。
量子化学計算
特に加速される研究分野として「量子化学計算」分野が注目を集めています。
AIの加速
QDL: Quantum Deep Learning
量子コンピュータ版のDeep LearningがQDLです。
そもそもDeep Learning が何か、はこちらをご覧ください。
ここからの説明はMicrosoftの研究所の出した論文に基づいています。
Deep Learningに量子コンピュータを活用することのメリットは2つです。
- 機械学習にかかる時間が短くなる。
- 古典コンピュータにはなかった新しいDLのフレームワークが作れる。
参考文献
- Wiebe, Nathan, Ashish Kapoor, and Krysta M. Svore. “Quantum deep learning.” arXiv preprint arXiv:1412.3489(2014).
- The Map of Quantum Computing
- moonshot project,量子ICTフォーラム
※絶賛編集中、続編乞うご期待。更新時はtwitterでお知らせしています。